今回は、韓国語の文章を読む上で欠かせない、発音変化について詳しく解説していきたいと思います!
「発音も覚えてきたし、読んでみよう!」と意気込んだのに実際やってみると「発音変わってるじゃん!」と驚くこともあるかと思います。
また、韓国語を学ぶ上で難しいと感じやすい1つの壁なのではないでしょうか。
発音変化って何?

発音変化ってどんなものなの??

日本語で例えると、雨(あめ)と水(みず)の漢字が繋がると雨水(あまみず)と発音が変化するようなものです。
では、韓国語にはどのような発音変化があるのでしょうか。

全部で大きく分けて9種類あります。一つずつ丁寧に解説していきますね!
ネイティブの発音に近づけるため、パッチムの表現はローマ字を使い、お伝えします。
子音や母音←正しい発音を知りたい方
パッチム←基本的な発音を知りたい方はこちら
以前解説した口の形や舌の位置などを意識しながら練習するとより効率的です!
有声音化
1つ目は有声音化です。
- パッチムなし、または「ㄱ,ㅁ,ㄹ,ㅇ」の後に「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈ」が続く場合は、「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈ」の音が濁る

例えば、 「부부(夫婦)」と言う単語があります。
文字単体で読むと「ぷぷ」となりますが、2つめの文字に有声音化する「ㅂ」が入っていますので2つ目の「부」が有声音化し発音が「ぷぶ」となります。
「물건(物)」は、「ㄹパッチム」のあとに「ㄱ」が続いているので「ㄱ」が有声音化して「むlごn」となります。
連音化(リエゾン)
パッチムの後に「ㅇ」が続くとそのパッチムが、「ㅇ」の場所に移動

例:「언어(言語)」は「ㄴパッチム」の後に「ㅇ」があるので「ㄴパッチム」が移動して「어너(おの)」と発音します。「언어(おnお)」ではないので注意してくださいね!
音が連なると覚えるといいですね。
英語で例えると 「thank you(サンク ユー)」を(サンキュー)と発音するようなものです。
鼻音化
続いては鼻音化です。鼻音化のルールは3つあります。複雑になってきますが頑張りましょう!
1.鼻音化①
「ㄱ,ㄷ,ㅂパッチム」の後に「ㄴ,ㅁ」が続くと、「ㅇ,ㄴ,ㅁ」に変化

例:「국물(汁)」は、「ㄱパッチム」の後に「ㅁ」があるので「ㄱパッチム」が鼻音化され、[궁물](くngむl)となります。
2.鼻音化②
「ㅁ,ㅇパッチム」の後に「ㄹ」の子音が続くと、その「ㄹ」が「ㄴ」に変化

例:「심리(心理)」は、「ㅁパッチム」のあとに「ㄹ」が続いているので「ㄹ」鼻音化され、「ㄴ」に変わります。なので発音は、[심니](しmに)となります。
3.鼻音化③
「ㄱ, ㄷ, ㅂパッチム」の後に「ㄹ」が続くと、パッチムがそれぞれ「ㅇ, ㄴ, ㅁ」になり、「ㄹ」が「ㄴ」に変化

例:「독립(独立)」は、「ㄱパッチム」のあとに「ㄹ」が続いているので鼻音化され、「ㄱパッチム」が「ㅇ」に変わります。さらにその影響を受けて、「ㄹ」が「ㄴ」に変わります。なので発音は、[동닙(とngにp)]となります。
流音化
「ㄴ」の前後に「ㄹ」があれば、その「ㄴ」が「ㄹ」に変化

例:「관리(管理)」という単語があります。「ㄴ」の後ろに「ㄹ」があるので、「ㄴ」が「ㄹ」に変化して[괄리]と発音します。
次に「실내(室内)」と言う単語の場合は、「ㄹ」の後ろに「ㄴ」があります。なので「ㄴ」が「ㄹ」に変化し[실래](しlれ)と発音します。
※「력(力)、률(率)、란(欄)、량(量)、료(料)、로(路)」が「ㄴパッチム」で終わる単語についている場合は「ㄹ」が「ㄴ」に変化します。
例:「판단력(判断力)」は最後に「력」がついているので例外で、「력」の「ㄹ」が「ㄴ」に変化します。なので[판단녁(ぱnだnにょk]という発音になります。
ㄴ挿入
合成語や派生語の時に、パッチムで終わる単語の次に「이,야,여,요,유,얘,예」が続く場合に「이,야,여,요,유,얘,예」が「니,냐,녀,뇨,뉴,냬,녜」に変化

「ㄴ挿入」は、その名の通り「ㄴが入ってくる変化」と覚えるといいでしょう。
例:「부산역(プサン駅)」は「부산(プサン)」と「역(駅)」の2つが合わさる合成語です。また、「부산」の「산」にパッチムがあり、その後ろ「역」の上に「여」があるので、その「ㅇ(イウン)」に「ㄴ(ニウン)」が挿入され「녁」となります。全体の発音は[부산녁](ぷさnにょk)となります。
また、この「ㄴ挿入」によって、またさらに発音変化を誘発する場合もあります。ご紹介します。
例:「서울역(ソウル駅)」は、「ㄹパッチム」の後に「역」があるので、「ㄴ挿入」のルールに従い[서울녁]となります。すると「서울녁」の「ㄹパッチム」後ろに「ㄴ」がありますね。こうなると流音化が適用されます。流音化は「ㄴ」が「ㄹ」に変化しまので、最終的には[서울력]という発音になります。
派生語とは
本来1つの単語であったものに、接辞などが付いたり語形が変化したりして、別の一語となったもの。「お」や「ご」などの接頭語が付いた「お宮」「ご親切」、接尾語が付いた「ぼくたち」「みなさん」「寒がる」などのことです。
合成語とは
合成語とは、複数の単語が合わさってできた単語のことです。
濃音化(基本と応用)
次は、濃音化です。簡単に説明すると「文字が濃音に変化する」です。「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」が変化後「ㄲ,ㄸ,ㅃ,ㅆ,ㅉ」となります。どうですか見た目も少し濃くなりましたよね。なので濃音化と覚えると覚えやすいですね。
では詳しく見ていきましょう。基本濃音化と応用濃音化3つをご紹介します。濃音化は複雑なので、こう言うのもあるのかと頭に入れてもらえたらと思います。
基本濃音化
「ㄱ,ㄷ,ㅂパッチム」の後に「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」が続くと、「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」が「ㄲ,ㄸ,ㅃ,ㅆ,ㅉ」に変化

例:「책상(机)」は、「ㄱパッチム」の後に「ㅅ」があるので濃音化します。「ㅅ」が「ㅆ」になるので、発音は[책쌍(ちぇkっさng)]となります。
応用濃音化①
語幹が「ㄴ,ㅁ」の音で終わり、その後に「ㄱ,ㄷ,ㅅ,ㅈ」が続くと濃音化して「ㄲ,ㄸ,ㅆ,ㅉ」に変化
語幹が「ㄴ,ㅁ」の音で終わるっていうことは、つまりパッチムが「ㄴ,ㅁ」ということです。

「신다(履く)」と言う単語を例に解説します
「신다(履く)」に「〜고(〜て)」がついて「신고(履いて)」の場合濃音化が起きます。「신」に「ㄴパッチム」があるので「ㄱ」が濃音化して「ㄲ」になり、発音は[신꼬(しんっこ)]となります。
ちなみに、「신다(履く)」も「신」という語幹が「ㄴパッチム」で終わっていて「ㄷ」が続いているので読み方は[신따(しnった)]となります。
語幹とは 語幹の探し方は?
語幹とは、”語尾が変化する語の、変化しない(と見なす)部分”のことです。例えば「신다(履く)」は「신어,신었어」などと変化するのですが、「신」の部分は変わらないですよね。この部分が語幹です。
語幹の探し方は簡単です。単語の本はほぼ「〇〇다」というように単語の最後に「다」がついています。その「다」をとって残った部分が「語幹」です。名詞などには「다」はついていません。
応用濃音化②
漢字語で「ㄹパッチム」がつき、その後に「ㄷ,ㅅ,ㅈ」が続くと「ㄷ,ㅅ,ㅈ」が「ㄸ,ㅆ,ㅉ」に変化

例えば、「발달(発達)」は漢字語で、「ㄹパッチム」の後ろに「ㄷ」があるので「ㄷ」が濃音化して、[발딸(ぱlったl)]という発音になります。
漢字語とは
漢字語を簡単に説明すると、漢字を元にして作られた単語です。この漢字語かどうかの判断は、日本語と発音が大体似ていたら漢字語のことが多いです。
例えば「무리(無理=むり)」は、日本語で無理も(むり)です。発音が似てますよね。
応用濃音化③
未来形を表す「ㄹ,을」の後に「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」が続くと、「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅅ,ㅈ」が「ㄲ,ㄸ,ㅃ,ㅆ,ㅉ」に変化

例:「먹을 것(食べるもの)」は「먹다(食べる)」に未来を表す「을」がついていて、その後に「ㄱ」の子音が続いています。なので「것」の「ㄱ」が「ㄲ」に変化します。最終的な発音は、[머글 껃(もぐl っこt)]となります。「것」の「ㅅパッチム」の発音は「ㄷ(t)」と同様の発音です。
未来を表す「ㄹ」とは
動詞の語幹に「ㄹまたは을」がつくと言うことです。「가다(行く)」は「갈〇〇(行く〇〇)」「먹다(食べる)」は「먹을 ○○(食べる〇〇)」という感じですね。
激音化
続いては激音化です。激音は、発音の際に息を少し出す発音でしたね。では、ルールを見ていきましょう。
「ㅎ」の前後に「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈ」が続くと「ㄱ,ㄷ,ㅂ,ㅈ」が「ㅋ,ㅌ,ㅍ,ㅊ」に変化。「ㅎ」は無くなる

例:「입학(入学)」は、「ㅎ」の前に「ㅂ」があるので「ㅂ」が激音化し「ㅍ」となり「ㅎ」の位置に移動します。なので発音は[이팍(いぱk)]となります。
口蓋音化
次は、口蓋音化(こうがいおんか)です。難しい言葉ですね。簡単にいうと「ㅈ,ㅊ」に変化すると覚えて貰えば大丈夫です。
「ㄷ,ㅌ,ㄾパッチム」の後に「이」が続くと「ㄷ,ㅌ,ㄾパッチム」が「ㅈ,ㅊ,ㄹㅊ」になる変化

例:「같이(一緒に)」は、「ㅌ」の後に「이」が続いているので「ㅌ」が「ㅊ」に変化します。なので[갗이]になり、「ㅊ」が移動して[가치(かち)]になります。
口蓋音とは
口蓋音とは、舌が口の口蓋という部分に触れる、もしくは接近して出す音のこと。郊外というのは、口の中の上部の部分ですね。
また、これと似たようなパターンで「ㄷ」の後に「ㅎ」が続く場合にも「ㅊ」となります。
例:「닫히다(閉まる)」は、「ㄷパッチム」の後に「히」が続いているので「ㄷ」が「ㅊ」に変化し[닻히다]になり、「ㅊ」が「히」の「ㅎ」の部分に移動します。最終的に発音は[다치다(たちだ)]となります。
ㅎの発音変化
では、最後は「ㅎ」の発音変化です。これは2つあります。
1つは、「ㅎ」の音が弱くなる(発音されなくなる)「弱音化」。もう1つは「ㅎ」をないものとして発音する「無音化」です。見ていきましょう。
「ㅎ」の弱音化
「母音」や「ㄴ、ㄹ、ㅁ、ㅇパッチム」の後に「ㅎ」が続くときに、「ㅎ」の音が弱くなったり発音されなくなったりします。

例:「결혼(結婚)」の発音を見てみましょう。「ㄹパッチム」の後に「ㅎ」があるので、弱音化します。なので「ㅎ」が無くなり、[겨론(きょろn)]となります。
※この発音変化についての知っておくべきこと
「母音」の後に「ㅎ」が続く弱音化は、個人差があります。全員がこのように発音するわけではありません。
例えば、「이해(理解)」と言う言葉があります。「ㅎ」の弱音化を適用すると「ㅎ」が消えて[이애(いえ)]と言う発音になります。しかし、私がネイティブの方と会話をしている時には、この発音変化を感じません。ネイティブの方々は、そのまま「이해(いへ)」と発音しています。
ネイティブに聞いてみたところ、このような発音はあまり聞いたことがないそうです。なので、”「母音」の後に「ㅎ」が続く弱音化 ” は法則があるということを頭の片隅に入れておくぐらいでいいかと思います。
「ㅎ」の無音化
「ㅎ」の後ろに「母音」がくる時に、「ㅎ」の音がなくなる変化

「ㅎ」の弱音化と似ていますが少し違いますので注意してください。
例:「좋아(良い)」の発音は、「ㅎ」の後に「아」の母音が来ているので「ㅎ」の音が消えて[조아(ちょあ)]という発音になります。
弱音化と無音化の違い
弱音化の時には「ㅎ」の場所に他の子音が移動してくるのに対し、無音化は「ㅎ」そのものがないもとして発音するという違いがあります。
最後に
韓国語の発音変化の多さに驚く方も多いかと思います。
しかし、実際の会話では、「これは「ㅎ」があってその後に「母音」がくるから「ㅎ」の無音化かぁ」と考えているうちに話が終わってしまいます。
なので、単語を覚えるときに音をそのまま覚えるというのが効率的な覚え方だと思います。
初めて見る単語で、調べられないときに今回の法則を思い出して当てはめる程度がいいかと思います。
今回は、たくさんのルールがあり大変だったかと思います。ここを乗り越えれば結構スラスラと読めるようになれます。頑張って行きましょう!
それではアンニョーン!
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